2012年6月22日金曜日

漢方処方の5つの副作用

(1)間質性肺炎
●小柴胡湯、乙字湯、柴胡桂枝湯などは、間質性肺炎を惹起する事が報告されています。
●投与中に発熱、咳嗽、胸部X線異常などが観察された場合は、直ちに投薬を中止し、適切な処置を実施します。
●間質性肺炎の報告例が最も多いのは、小柴胡湯で、インターフェロン製剤投与中の患者さん、肝硬変あるいは肝ガンの患者さん、血小板数が10万/mm3以下の患者さんには投与禁忌です。
(2)肝機能障害
●漢方薬による薬剤性肝機能障害の発症頻度は、全体の0.01~0.05%
●服用後1~2週間で発症する事が多い。
●漢方処方による肝機能障害は、AST、ALT、ALP、γーGTP等の上昇の程度により、主に3つのタイプに分類できます。
●投与中に異常が認められたり、患者さんが発熱、発疹などの自覚症状を示した場合は、直ちに投薬を中止し、適切な処置を実施します。
(3)偽アルドステロン症
●偽アルドステロン症は、甘草を過剰摂取したり、甘草含有処方を長期投与したり、高齢者や女性に投与したりした場合に発現しやすく、芍薬甘草湯は、低カリウム血症の結果として、うっ血性心不全などの心疾患を引き起こす恐れがあります。
●投与中に異常が認められた場合は、直ちに投薬を中止し、適切な処置を実施します。
●甘草を1日2.5g以上含有する処方は、アルドステロン症、ミオパシー、低カリウム血症の患者さんに投与できません。
(4)皮膚症状
●湿疹、皮膚炎など
●参耆剤、桂枝湯の加減方、解表作用のある生薬を含む処方、紫雲膏は、皮膚症状を引き起こしやすいとされています。
●投与中に異常が認められた場合は、直ちに投薬を中止します。
●紫雲膏は、かって本剤の投与で過敏症を呈した患者さん、重度の熱傷・外傷のある患者さん、化膿性の創傷で高熱のある患者さん、患部の湿潤やただれのひどい患者さんには投与できません。
(5)膀胱炎様症状
●頻尿、残尿感、血尿、排尿時や下腹部の痛みなど。
●尿検査で、蛋白尿、白血球増加を認める場合がある。
●小柴胡湯、柴胡桂枝湯、柴朴湯などの柴胡剤、温清飲、防風通聖散は、膀胱炎様症状を誘発する事が報告されています。
●投与中に異常が認められた場合は、直ちに投薬を中止し、抗ヒスタミン剤の投与など、適切な処置を実施します。
※これまでに報告されてきた漢方処方の5つの副作用でした。
<参考資料:エッセンシャル漢方医学>

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