2012年8月14日火曜日

第25回日本疼痛漢方研究会・学術集会(1)

 2012年8月4日(土)9:00~18:00、東京コンファレンスセンター・品川で、第25回日本疼痛漢方研究会・学術集会が開催された。テーマは、「口腔顔面痛の漢方治療」であった。品川プリンスホテルに宿泊し、1泊2日、朝から夕方まで、目一杯、勉強してきました。
 ワークショップ【口腔顔面領域の各種痛みに対する漢方処方】~基調講演~口腔内領域の痛みと漢方~横浜薬科大学・漢方薬物学研究室・教授「石毛 敦」先生の講演と著書の紹介です。
【講演】漢方では「通じなければ痛み、通じれば痛まない」とされており、気血水を十分に循環させることが重要とかんがえられている。気の滞り:張ったような痛み。血の滞り:深部で締め付けられるような痛み。水の滞り:拍動性の痛み。とおおまかにはとらえることができる。口腔内領域の痛み特に歯周病に伴う疼痛に関しては、炎症の改善のみならず血流の改善を念頭に治療を進める必要がある。漢方的に考えると炎症などは熱症状であり清熱生薬が必要となる。血液循環不良は、血の滞りである瘀(お)血と捉(とら)え駆瘀血生薬を選ぶことになる。さらに、瘀血に伴う血液で運ばれる栄養不足を血虚と診ることができ、補血生薬の出番となる。一方、口腔内の異常が長引いた場合には不安感も強く表れるものと考えられる。そのための生薬が理気生薬である。これらの症状が混然一体となっている場合が口腔領域の疾患には多くそのため漢方薬の出番も多いものと考えられる。先ずは、どの症状があらわれているのか把握する必要がある。・・・・・・・
【著書】「漢方処方と方意」:石毛 敦・西村 甲、共著、南山堂、3675円


葛根湯


●中間症
●表寒
●気は普通








※方剤と保険適応
●「桂皮芍薬生姜大棗甘草」+葛根麻黄
桂枝湯葛根麻黄
桂枝加葛根湯麻黄
●保険適応自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こりなどを伴う比較的体力のあるものの次の諸症:感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん。
※方意と解説
生姜大棗甘草でお腹をいたわり、麻黄桂皮で強く身体を温め、発汗させる。葛根は肩こりを治し、甘草は発汗過多による脱水となるのを防ぐ。
芍薬は利水作用とともに補血作用も持ち、発汗過多を抑制する。
桂枝湯は汗の出やすい虚弱な人が風邪をひき悪寒や頭痛、発熱といった太陽病期の表症を目的に使用され、桂枝加葛根湯はそれらに麻黄が加った方剤である。
麻黄桂皮の組み合わせは、身体を強く温め発汗させる作用を持つ。葛根湯は風邪をひいても汗の出ない、言い換えれば、汗の出やすくない人に適応すべき方剤である。<著書より抜粋>

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