冷え症の漢方治療
※冷え症の概念
普通の人は別に寒いと感じない程度の温度でもい、常に手足や腰背などが自覚的にとても冷く不快に感じられる場合を一般に「冷え症」と呼んでいる。冷え症は特に女性に多く、わが国では約半数の女性が何らかの程度で冷え症状に悩まされている。
冷え症は中の血管運動神経の失調による局所の血流量の減少と、その知覚異常(過敏)によって起こると考えられている。ホルモン補充療法やビタミンE、あるいは自律神経調整薬などが用いられるが、顕著な効果は見られない。
※冷え症の常用処方
(1)陽虚
虚弱体質、老人あるいは大病後、術後、産後などで気血の不足した人に見られる。外からの風寒の邪が虚に乗じて体内に侵入し、陽気を損傷して内寒に陥ったものが寒邪傷陽で、もともと体内の陽気不足が著しく、体を十分に温められないものが陽虚内寒である。陽虚の人は手足の冷えが著しく他、元気不足で倦怠無力感が強く、色の薄い尿や下痢軟便などが出やすい。舌質は胖大で淡、脈は沈弱、時に遅である。
①寒邪傷陽・・・麻黄附子細辛湯、五積散、当帰四逆加呉茱萸生姜湯
②陽虚内寒・・・人参湯、八味地黄丸
(2)水滞・・・・・・・真武湯、苓姜朮甘湯、当帰芍薬散
水飲の代謝が悪く、痰飲が細胞間隙あるいは皮下などに停滞すれば、水は陰邪で冷え易く陽気の働きを妨げるので冷えを感じる。舌は湿って白い舌苔を伴い、脈は沈弦あるいは沈緊を呈する。水飲の停滞があると冷えと同時に、浮腫、頭痛や神経痛、下痢、めまい、動悸、咳痰など多彩な所謂水毒症状が出現する。
(3)瘀血・・・・・・・桂枝茯苓丸、桃核承気湯
体内で血液が停滞して円滑に流通できなくなった病症が瘀血である。瘀血は気の異常、寒熱、外傷や内出血、および女性では月経・妊娠・出産など女性特有の生理の結果として生じる。瘀血があると、血行の停滞やそれに伴う放熱の不均等や自律神経失調などにより、自覚的な寒熱が錯雑混在して、いわゆる冷えのぼせの症状を伴う事が多い。 瘀血証では肌膚甲錯(サメ肌)、静脈怒張(血絡)、毛細血管拡張(細絡)、異常出血、頭痛、肩こり、局所性の鋭い痛み、下腹部の緊満感や著明な圧痛などがよく見られる。脈は一般に沈渋、舌や口唇は暗紅色~青紫色でよく舌に紫斑が現れている。
<参考資料:漢方の基礎と臨床(通称 黄本)高山宏世編著>
蘭丸の父も「冷え症」で整形外科疾患と闘病中である。加齢疾患かな???
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