全身療法は、慢性疾患では、全身の臓腑の気血に異常をきたしている場合が多いので、全身を調整する必要がある。慢性疾患でなくても局所の異常は、全身の異常の一部分として現れることがあるので、原則的には全身の調整が必要である。全身療法は、背部と腹部から抜缶するのが基本である。いずれも内臓の五臓六腑と深い関係がある場所であり、背腹部から全身を調整することが出来るからである。
(1)背部の抜缶療法
「背部」に抜缶するときは、正中線の督脈(下図1)と左右両側の膀胱経(下図2)の走行上に、日を改めて、交互に吸引する。背部には五臓六腑の兪穴があり、全身を調整することが出来る。つまり脊柱神経を刺激することになり、自律神経を調節する作用がある。
具体的には、正中線(督脈)の場合は、缶球を、GV14大椎から、GV1長強に至るまで連結して留缶する。膀胱経には左右に連結して留缶する。
(2)腹部の抜缶療法
「腹部」に抜缶するときは、腹壁から五臓六腑の機能を刺激し、邪気を吸引する。また腹部の動静脈の流れをよくすることにより、全身の血流がよくなり、全身の調節を図ることが出来る。
「腹部」には、下図3のように取穴する。ちょうど肝心な臓腑の募穴を刺激することができる位置にある。抜缶頻度は、健康維持のためなら、1~2/週、疲れたときには、その都度抜缶する。慢性疾患の治療にはできれば、その都度その治療法と合わせて行うとよい。
<参考資料と図:抜缶療法の臨床応用、西田 皓一著>
図3 胸部と腹部の抜缶療法 |
図1 督脈の抜缶療法 |
図2 膀胱経の抜缶療法 |
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