舌は臓腑経路・気血津液・邪正状況を反映する客観的な診断指標
中医学では、人体とは多数の経路によって繋がる全体的なものと考えている。体内の臓腑経路・気血津液・邪正闘争【正気と邪気の闘争。正気が勝てば健康、正気が負ければ病気になる】などのさまざまな状況は、経路を通じて必ず体表に現れる。いわゆる「蓋有諸内者、必形諸外」(およそ体内の諸々の状況は必ず体表に現れる)(『丹溪心法』【元代・朱震亨の病証に関する論述を弟子がまとめたもの】)である。
舌診は中医の望診【中医学の4つの診断法の1つ。視覚を使って患者を診断する方法】に属し、舌象(舌質・舌苔・舌下静脈の色と状態)を観察することによって、疾病の性質・病位の深さ・病気の進退・正気の盛衰を判断する診断方法の1つである。
また、舌診は患者の主観的な感覚に左右されず、疾病の原因をありのままに反映する客観的な指標でもある。ときには他の診断法より、迅速かつ鋭く疾病の前兆・進展・予後を判断することができる。そのため昔から、舌は「露出した内臓」「内臓の鏡」と称されている。現在の中医学において、舌診は弁証論治【病に証をたて治療を行う中医学独自の治療システム】するうえで欠くことのできないものとなっている。~~~~~
ISBN9784924954946 6300円 |
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